死ぬのは、こわい? (よりみちパン!セ)



死ぬのは、こわい? (よりみちパン!セ)
死ぬのは、こわい? (よりみちパン!セ)

商品カテゴリ:幼児教育,知育,赤ちゃん育て方
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メメント・モリ

本書はホスピスを経営している「ぼく」が夢二という少年に、「死とは何か」、
「死は怖いのか」といった事をホスピスでの出来事を交えながら伝えていく
という構成になっています。

登場する夢二少年は中学二年生で、本書も中学生に向けられた内容の本ですが、
大人が読んでも死・命・病気について考えさせられることが多くあると思います。

今までいかに死を遠い所のモノと思っていたか、死について考えてこなかったか、
死が多くの現代人から隔絶しているかを思いしりました。


命の現場で働く著者の書いた本書は淡々としていて、とてもシンプルなイメージを
受けますが、そのメッセージは真っ直ぐに読者の心に入ってくると思います。
命とは、湧くこと 死とは、湧かないこと

まず文体が独特だと感じました。
うまくは言えないのですが、くっきりというよりはぼんやりとした印象を受けました。
あくまで個人的にですが‥。
100%オレンジさんの絵も関係しているのかもしれません。

さて、ホスピスでの病死をメインに話は進んでいきます。
いろいろなケースが紹介してあります。
中学生だと、どうなんでしょう、リアルに感じるのかなぁ。
驚くのか読み飛ばすのか、どうにも想像ができません。

この本の中で一番心に残ったのは「湧く」という言葉でした。
命とは湧くってことで、死ぬのは湧かないってこと、との言葉が本文にあります。
そして、湧くことこそが本物で長く続くものだ、ともあります。
これには、なるほどなぁ、と思いました。
生きているということのはじめはそもそもが、意思によるものではなく湧いたものですよね。
生まれたい!と念じて生まれてきたわけでもないし、意思は発生してから芽生えるものですし。
自分の生も、自分の中に湧いてくる思いも、自分で選んだものではなく、何かしらないけど突然湧いたものなのではないでしょうか。
そしてある時はそれが自分で選んだ意思よりも長続きするのです。
そういうことをいろいろと考えることができました。

湧いていたものが湧かなくなるのはこわいことでしょうか?
湧かないことも自分の意思では選べませんよね。
命はとつぜん発生して、とつぜん消えます。
花はただ咲いています、人間はどうでしょう?
死ぬのは、こわい?
「死」への想像力を優しく刺激してくれる

 ホスピスケアのある「野の花診療所」の所長である著者が、この診療所を舞台に、一人の中二の少年を相手に、「死ぬとは」をどこか独白のような語りかけで紹介し、考えさせていきます。救急車で運ばれる人、病院での死の瞬間、死を待ちながら暮らす人たち。診療所をとりまく世界を通して少年に死を理解させているつもりだったのが、実は、と最後にある一寸意外な展開がお話としても面白くしています。診療所での事実と、作者の創作の部分が入り混じっているのでしょう。優しい語り口は作者のほかの作品にも共通するあたたかさで、暗くなりそうな題材をこの語り口と100%ORANGEの挿画が救ってくれています。

 「死にはどんな形容詞が似合うとおもう?」と少年に問いかけるところがあります。「暗い」「遠い」「ひどい」「さびしい」・・・。こんな考えさせ方もあったのですね。表題の中の「こわい」も、つけたくなる形容詞の一つでしょう。「苦しい」を死から離そうと努力している、というのはお医者さんのちょっと宣伝文句みたいにも聞こえますけれど。「明るい」「やさしい」という形容詞がつくような「死」とはどんなものだろうかとか、自分にとって望ましい「死」につける形容詞は、などと考えてみたくなりました。

 「死」というものを身近に体験する機会は本当に減っています。コンピュータのゲームの中で死んでも、やり直しがききます。精巧な玩具もできている。カブトムシが死んだら「電池を買ってきて」と言ったとかいう笑い話のような話を聞いたこともあります。もう少し現実の「死」に、こんな優しい形で触れてみることからはじめても悪くはないと思います。突然遭遇してパニックにならないためにも、この本は現実の「死」への想像力を優しく刺激してくれます。

 「よりみち!パンセ」シリーズの一冊で、主人公も中二ですから、そのぐらいの年代を対象に考えてかかれているのでしょう。でも、大人でも、これを読むと身近な人や自分自身のこととして、読み取るものが何かあると思います。「死」ということについて、何かの思いが湧いてくる。著者が始めのほうに書いていますが、「湧くってことが、一番大切なんだ」と思います。
 
大人でもなかなか答えられない、「死」について

 人生折り返し地点、「死ぬ」ことに無関係ではいられない環境。祖父母、両親、兄弟、自分、子ども、同僚にご近所。それなのに、自分自身のことを「死」から最も遠く置こうとする、「死」を避けている自分に気づかされる。医療関係者でも何でもない者にとっては、「死」は非日常であり、隠されたものであり、直視したくないものである。
 しかし、徳永先生の診療所を、本の中で夢二君と一緒について回っている間に、もしかしたら「死は日常生活になくてはならないもの」ではないかと考えさせられてしまうのだ、自然に。
 柔らかな水彩画の挿絵と筆者の語り口が、ふだんならば抵抗のあるものに対しての垣根を低くしてくれるのだろう。子どもにもわかる優しい口調で淡々と語ってくれるから。
 谷川俊太郎氏の詩も末尾に添えられているが、これは無くても全然構わない。この本の存在そのものが「詩的な死」として、読者を引き込む力があり、むやみに読者を怯えさせる事もない。優しさと哀しみ、慈しみにあふれている不思議な本である。
死ぬのは、こわい? ってきかれたら どう答えますか?

 この質問はね、大人でも答えるのが難しいの。だから、まだ小学生や中学生で無理に答えを見つけようとしなくてもだいじょうぶ。高校生でも、「死ぬこと」について、まっすぐ向き合うには勇気がいると思います。でも、人間は「死ぬ存在」なんだってことを、いつも忘れないでいて欲しいのです。
 徳永先生の診療所には、たくさんの病気の人がいます。治る人もいれば、亡くなる人もいます。先生は、中学生の夢二君といっしょに、いろんな人を紹介してくれています。病室にいるいろんな人、ふだん会うことのない人、死にそうな人、死んでしまった人の家族、ほんの少しだけかもしれないけれど、この本からふれてみてください。
 
 あなたならば、夢二君とどんな話をしますか?
 徳永先生に、どんな話をきいてみたいですか?
 診療所の中で、どんな仕事を手伝ってみたいですか?

 そして、「生きている」ことがどんなことか、どんな感じがするのか、考えてみてください。自分がどんなふうに生きていたいか、考えてみてください。それから、「死ぬ」ことをもう一度、考えてください。
自分がこの世からいなくなってしまうことについて、それまでにどんなことができるか、想像してみてください。



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